2011年12月26日

消費者庁消費者制度課御中

「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の骨子」についての意見

埼玉県消費者団体連絡会

 2007 年の消費者団体訴訟制度導入以来の課題であった集団的消費者被害回復に係る訴訟制度について、このたび骨子がまとめられたことを歓迎いたします。

 消費者が泣き寝入りすることなく、被害回復を図りやすい社会を実現するために、本制度の一日も早い導入が望まれます。埼玉消団連といたしましても、本制度の実現に向け、今後も他の団体と協力して本制度に関する学習・広報活動などに取り組んでまいります。

 また、消費生活相談の件数は、2010年度で約89万件と依然として高い水準が続いています。消費者被害の発生や拡大の防止は、今後も行政の責務として役割の発揮が必要です。貴庁におかれましても、本制度の導入とともに、経済的不利益賦課制度および財産の隠匿・散逸防止策について早急に検討を進め、実現に向けていっそうご尽力いただきますようお願い申し上げます。

 その上で、多数の消費者被害回復のためには本制度の早期実現が必要であること、本制度導入後の実効性を確保するためには担い手となる特定適格消費者団体がより利用しやすい制度とし、特定適格消費者団体への支援を充分に行うことが重要であるとの観点から、以下の点について意見を申し述べます。

1.本制度の早期実現を求めます。

集団的消費者被害回復に係る訴訟制度は、個別訴訟による被害回復が困難であった消費者に被害救済の道を開く有益な制度であります。本制度に関する法案を次期通常国会において成立させ、早期に導入することを強く求めます。

2.本制度を担う特定適格消費者団体への支援のいっそうの充実を求めます。

(1)特定適格消費者団体の認定の有効期限について

まず、特定適格消費者団体の認定の有効期間について3 年とされていますが、新規登録後、一定の活動実績を積んだ段階では有効期間を5 年に延長することで、本制度の信頼性は確保しつつ特定適格消費者団体の運営上の負担を軽減することが可能になると考えます。

(2)特定適格消費者団体に対する認定要件と財政支援について

「被害救済関係業務を適正に遂行するに足りる経理的基礎・人的体制」の要件が過大なものとならないよう、実態を踏まえた認定要件とすべきと考えます。

また、差止関係業務は全体として収益性のない業務であり、消費者被害の防止・救済を担う公益性を考慮して国は相当額の財政支援を行うべきと考えます。

(3)本制度の業務遂行に係る特定適格消費者団体への報酬・費用について

次に、本制度における業務遂行に係る費用等については、消費者委員会の集団的消費者被害救済制度専門調査会の報告では、「本制度の持続性を保つ観点から、これらの業務を遂行する上で不可避的に生ずる人件費その他の一定の支出について、適格消費者団体が合理的な範囲内でこれを回収できるようにする」旨が記載されています。この点について「骨子」では、特定適格消費者団体の認定等の項以外には報酬又は費用に関して明記されていません。消費者委員会の専門調査会報告書にある通り、本制度を持続させるためには特定適格消費者団体が必要な報酬・費用を回収できる仕組みがぜひ必要です。今後の法案化作業においては、弁護士法第72 条の規定に例外を設け、特定適格消費者団体が必要な報酬・費用を回収できる仕組みについて明記されるようお願い申し上げます。

(4)二段階目の手続きにおける通知・公告費用について

二段階目の通知・広告手続について「骨子」では、「事情により通知・公告費用の全部または一部を被告に負担させることができることとする」とされていますが、被告が正当な理由なく裁判所の命令に従わず、通知に必要な対象消費者(被害者として確定している対象消費者)の情報を申立団体に対して提出しない場合には、それにより生じた超過の通知・広告費用については被告に負担させることを明記すべきです。

以上